ラクに、楽しく、美しく。暮らすための日々の実験ブログ

快適に暮らすための工夫をご紹介しています。

妊娠、出産のモヤモヤがスっと晴れる一冊 読書レビュー 『自分で名付ける』

こんにちは。

日本で生まれ、日本で育った私にとって、結婚=名字を変えるものだとなんとなく受け入れてきました。

しかし、
・やっぱり当たり前じゃないよね?
・何かを我慢しているのでは?
・かなりの負担もあるし(手続きがめちゃくちゃ面倒くさい)

という心の奥底にある気持ちをバッサリといい当ててくれる本に出会いました。

名字を変えることへのうっすらとした違和感

著者の松田青子氏は、「名字を変えたくない」という理由で結婚ではなく、事実婚を選択。そして子どもを授かります。

このエッセイの醍醐味は、なんと言っても、ズバリ現代の女性の心情をいい当ててくれているところです。

良い意味で言えば、これまでの日本のやり方、
悪い言い方をすると、凝り固まった、同調圧力による女性への負担を
サラッと言い表しています。それもネチネチした感じではなく、例えば村上春樹氏のような口調で、時にはクスッと笑わせてくれながら淡々と綴ってくれるので、すっと心の中に入ってきます。

内容としては妊娠してから出産までがメインに書かれています。

私も現在妊娠している身として、そうそう、そうだよねと共感しながらあっという間に読んでしまいました。読み終わった後には何とも言えない爽快感。いつの間にか背負っていた肩の荷が少し降りた気がしました。

ともすると、少し自分が我慢したり妥協したりして見過ごしているプチストレスを丁寧に拾い上げてくれています。

たくさんのエピソードがあるのですが、特に私が共感したものをいくつかご紹介したいと思います。

妊娠にかかる費用が、自由診療であること

これは最初に病院に行くまで知らなかったびっくりポイントです。
吐き気や頭痛に悩まされるつわりやお腹の痛み、むくみなど、ふつうの風邪以上の重い症状が10ヶ月以上に渡るにも関わらず、まさか自由診療とは、、、!※帝王切開は保険適用。
なんだか見放された気持ちになったものです。

お会計時には自治体の補助券もありますが、毎回持ち出しの費用も多くなんだかなーとモヤモヤしていたのでとてもスッキリしました。

理想の母親ってなに?

本書の中では、出産してからわずか7時間でベビーをお披露目したイギリスのキャサリン王妃のエピソードが書かれていました。
それがたとえ無痛分娩だったとはいえ、命に関わるほど大きな負担を負った直後に、ちゃんとメイクをして、ハイヒールを履き公の場に登場したキャサリン妃は、逆に世間に対して、出産が軽いものであると言うイメージを植え付けてしまったのではないかと言われています。同時に本書では、こんなことはあり得ないと、実際に出産したイギリスの妊婦さんが自分の満身創痍の(ゾンビのような)写真とキャサリン妃の写真を並べてSNSにアップし、多くの人が励まされたというエピソードも出しています。後にキャサリン妃もあの状態で公の場に出ることはとても不安だったと語っていることから、筆者も理想の母親像のために女性に無理をさせるべきではないと語っています。

最近ではSNSでキレイな見た目のママやキラキラした出産が多く見られますが、実際の出産とのギャップは知っておいた方がよいなぁと感じました。

赤ちゃんのジェンダーは、ない

妊娠してしばらくすると気になるのが男女の性別。ママの方はあまり気にしていなくても、周りではどっちか決まった?、などと質問されることが、私も実際に多かったです。
しかし、本書では小さい男の子が筆者の指輪に気付き、「僕きれいなもの好きなんだ」と言ってくれたエピソードから子供のジェンダーは周りが決めつけているのではないかと気づかせてくれます。
女の子だからピンクのお洋服や可愛いものが好き、男の子だから青い服や外遊びが好きなど、私も知らず知らずのうちに子供を、男女の枠に閉じ込めているような気がしました。しかし、実際、美的センスが優れデザイナーになる男性や、スポーツ万能でアスリートになる女性もたくさんいます。
最初から決めつけるのではなく、子どもの好きを大切にして育てていきたいなぁと思ったエピソードでした。

モヤモヤしている全ての妊婦さんにおすすめ

以上に挙げた他にも、筆者の視点でスパッと結婚や妊娠のモヤモヤを取り上げてくれています。
現在、女性の社会進出や男女平等などが訴えられていますが、この本では、法律や決まりでは変わらない現実に意識を向け、ポジティブに少しづつ意識の変化を訴えています。
もし妊娠、出産が男性の役割だったら、コンビニでピル(経口避妊薬)なんて買えるようになっているよね?など、たしかにそうかもとうなずく要素が満載です。

悲観的になる訳でもなく、未来に希望を持ちながらこの本はうちにとって頂けたら楽しいと思います。


ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた次回。